病院を温かな空間に。患者さんを対象にしたアートプログラムを実施しています。

ホスピタルアート実践レポート01 ~始動の経緯~

ホスピタルアート実践レポート01 ~始動の経緯~

人の生老病死すべてに立ち会う『病院』ほど、大切な場所はないかもしれない。
ならばそこは、どこよりもいやされる温かな空間であってほしい、と心から願うようになった。

そのきっかけは、生死の境をさまよった母の入院生活だった。
健康な自分でさえ、無機質な空間にエネルギーが吸い取られていく。
まして心身ともに不調の患者は?そしてここで毎日勤務する病院職員こそ、もっとやさしい空間が必要に違いない。それには、美術館で培った自分の経験が役に立つのでは?と走り出したのがホスピタルアートである。病院のアメニティが高く求められる昨今、本活動も多様な広がりと展開を見せるようになってきた。

しかし始動に至るまでは、病院の特性に戸惑うことも多かった。逆に多くのご教示や応援もいただいた。なかでも、自ら末期癌と闘いながら、「病気に苦しむ人の役に立ちたい」と加わったアーティスト、一瀬(いちせ)晴美(はるみ)さんの存在は大きい。今年1月に亡くなるまでの2年間、彼女は病院に求めるものを患者側からの視点で示し、実に多くのことを教えてくれた。それを大切に、温かな病院環境づくりの一助となりたいと改めて思う。

さて現在、以下の活動をしている。
①院内アートプロジェクト-患者・病院職員・ボランティアなど協働で行うアートの院内リノベーション。壁画やヒーリングガーデンの制作等
②院内アートプログラム-患者や病院職員対象に行うワークショップ。絵画・彫刻・陶芸・人形制作等 ③院内展覧会・コンサートの開催

いずれも病院関係者と患者、子ども、ボランティア、アーティストや地元住民の間に温かなコミュニケーションが生まれ、爽やかな感動を覚える。そして以上に加え、最近はアート作品の設置やコーディネート、コンサルタントも求められてきている。

では各活動の具体的事例は、次号から紹介させていただきたいと思う。

Wonder Art Production/Hospital Art Lab.
代表 高橋雅子

月刊「病院」(医学書院)2005年7月号掲載

 
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