病院を温かな空間に。患者さんを対象にしたアートプログラムを実施しています。

ホスピタルアート実践レポート08 ~海を越えたホスピタルアート~

ホスピタルアート実践レポート08 ~海を越えたホスピタルアート~

感動の瞬間を共有する時、人々の間を隔てる国境、言語や文化の違いさえ易々と超えて、心がひとつになれる!病院で、そんなすてきな体験をした。

2005年8月。遠い国ポーランドから世界的な絵本画家のウィルコンさんが来日した。ポーランドでは彼を知らない人はいない。文化勲章も受賞したアート界のボスで、心温かくユーモア溢れる人気者だ。
そんな彼が、私達のホスピタルアート活動に共鳴し、済生会栗橋病院で行われたプロジェクトに参加してくれたのだ。

病院でのアート活動が初めての彼は、患者さんや病院が求めるもの、当日制作するもの、そして施設の現状を考えつつ、当日まで何枚もスケッチを重ねながら一緒に準備を進めてくれた。

当初は、設置予定の壁に合わせた1.6X3.9mのキャンバス画1点を制作の予定が、まるで皆、ウィルコンさんの魔法にかかったように夢中で筆を運ぶうち、2点の巨大な壁画が誕生した。 1点は海中を泳ぐ色とりどりの魚の絵。そしてもう1点は、月に向かってV字に飛翔する渡り鳥の群れ。日本人なら誰もが懐かしいモチーフであった。

当日は当院の患者さんや職員に加え、ウィルコンファンの絵本作家や美大生、また仙台の病院長なども参加された。点滴をつけ重症らしい患者さんもしばらく見学後、回りの誘いに乗っておずおず描き始めると明らかに表情が和らぎ、顔色も良くなった。
そして鳥の絵がほぼ完成の時、ウィルコンさんはこの患者さんに言った。
「金色の月の中に、あなたの名前を書いてください。」
「え?私が書いていいの?」
「もちろん。」
「これはずっと残りますね。今日のことは一生忘れない。」
と言ってぽろぽろ涙をこぼした。付添いの看護士さんも涙ぐみ、ウィルコンさんの目も赤くなり、私たちも皆泣きながら共同作品を仕上げた。感動的な1日であった。

Wonder Art Production/Hospital Art Lab.
代表 高橋雅子

 
ページの先頭に戻る