病院を温かな空間に。患者さんを対象にしたアートプログラムを実施しています。

ホスピタルアート実践レポート10 ~つどい、つくり、つながるひととき~

ホスピタルアート実践レポート10 ~つどい、つくり、つながるひととき~

「参加者の方々は、作ることを本当に楽しんでくれるだろうか?」
そんな疑問を胸に、品川の知的障害者施設、第一かもめ園へと向かった。
この施設へは普段、陶芸サークルのボランティアとして通っている。
今回の人形作りは、広く他の利用者にも呼びかけていただいた。しかし陶芸の常連さん以外はもの作りに無関心そうで、いつも無表情な方が多いように感じていたのだ。
当日は、それぞれ違った個性や障害を持つ方々14人が、同時にサポートを求めてきたので、私たちスタッフ4人は対応に大忙しのスタートだった。でもいったん作り始めると、みんな驚くほど一生懸命。とても集中している。
「なに?俺に人形作れっていうの?」とでも言いたげな冷めた顔の年配の男性も、気づくとニコニコしながらお魚やナスのぬいぐるみを作っていた。それが得意気でかわいい。耳が不自由でいつも無表情の女性は、器用な手先を活かしてウサギやネコなどいくつも作っていた。
そしてめったに無いことだが、今日は何度も笑った。急に光が射し込んだように、とても感動的だった。お茶目なYさんは、「あれ!出口が無くなった!」とか「昔、家庭科得意だったんだ。」とか、今日もおしゃべりだ。
誰かが作り終えるたびにみんなが拍手喝采。作品は次々ツリーに飾られていった。体調不良の1人を除き、13人がみな自信作を仕上げた楽しいひと時。
2時間は瞬く間に過ぎた。参加者の活気と集中力、活き活きした表情に、今後の確かな手ごたえを感じていた。

最近、ニットカフェなるものが流行っているらしい。ニューヨークが発端の編み物ブームが日本にも波及し、編み物サークル的なカフェが人気なのだ。手作りの楽しさと寛ぎのティータイム、そしてそこに居合わせた人との語らい。
それは、心の安定と和やかな表情を取り戻す、良薬と言えるのかもしれない。

Wonder Art Production/Hospital Art Lab.
代表 高橋雅子

月刊「病院」(医学書院)2006年4月号掲載

 
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