病院を温かな空間に。患者さんを対象にしたアートプログラムを実施しています。

ホスピタルアート実践レポート14 ~七夕 やすらぎアート展~

ホスピタルアート実践レポート14 ~七夕 やすらぎアート展~

「主人が病気(ガン)で苦しまないように。主人らしく天国へ送ってあげたいので、神様よろしくお願い致します。」
昨年の七夕。病院の待合スペースに飾られた笹には、夫への思いやりに満ちた、願いの短冊が結ばれていた。その枝は、病や死と直面している患者さんや家族の方々の、素直でささやかな願いの言葉で清らかに彩られていた。
「病気をとおして、幸せを見付けてゆくことができますように。」
「ごはんが美味しく食べられますよ~に!」
「1日1日を大切にしたい。」

病が人を育て、死が限られた人の生を輝かせる。ホスピタルアート活動を通して、そんな側面を垣間見てきた。病や死と直面して初めて気づかされることが多い。残された時間を毎日精一杯生きるなかで凛として透明になっていく人もいれば、五体満足でも不平不満のうちに漫然と過ごす人もいる。果たしてどちらが幸せだろうか?そんなことも考えてしまう命の現場、『病院』とは、なんと根源的なステージなのか。

NTT東日本関東病院で七夕の時期に行われる、患者さんの作品発表の場、「やすらぎアート展」。その片隅に設置する笹の枝には、そうした『病院』ならではの深い言葉も多々見られる。

そしてこの展覧会は、回を重ねる毎に、来院者の方々に楽しみに待たれるようになってきた。それは、制作者である精神科の患者さんたちの、人の評価を意識しない自然体の作品、そしてパーソナルな心情や願いが反映されたやさしい絵が、見る人の心のバリアをはずし、なごませてくれるからであろう。
また、病院内にそうした空間が求められているのも感じられる。今年ももうすぐ七夕の季節。3年目の「やすらぎアート展」でもまた、すてきな作品がたくさん並び、病院を訪れる人々の心をほっと和ませてくれることだろう。そして傍らの笹は、どんな願いの短冊たちで彩られることだろうか。

Wonder Art Production/Hospital Art Lab.
代表 高橋雅子

月刊「病院」(医学書院)2005年8月号掲載

 
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